287 囚人の常識

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経営コラム SOLID AS FAITH 第287号
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新年明けましておめでとうございます。
 ご愛読ありがとうございます。第287話をお届けします。

 今年最初の発行です。年末年始のPC仕事をしつつ、当コラムの原稿書きを
しておりましたら、296号・297号に到達し、今年は300話記念号も発行しなく
てはならないことにハタと気付きました。200話達成の際には、名著『下流志
向』の読みときを6話に渡り行なって、皆様のご好評を戴くことができました
が、今回は特にそのような仕事に役立てられる書籍に巡り合った訳でもなく、
どうしようかと頭を悩ませております。7月の後半には300話に到達しますの
で、あまり時間はありません。また、テーマ設定など決まりましたら、PR欄
などで報告致します。

 今号のPR欄は先日無事発送が完了した、弊社恒例のA4版寒中見舞いのご
案内です。今回はプレゼント企画もつけた内容となっています。ご希望の方は、
是非PR欄の要領に従ってご連絡下さい。

 新年最初の号であっても、例年通り全く季節感も何も無く、第287話『囚人
の常識』をお届けします。有名な「囚人のジレンマ」の反復モデルについて、
書籍に書かれていた内容を読んで、考えたことをまとめてみました。お楽しみ
戴けましたら幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。
頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その287:囚人の常識

 独立当初、何度も読んだ『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』。SPI
を始めとするありとあらゆる職業適性に関わる試験結果が、やたらに低い私で
も何とか零細事業を続けて居られるのは、この本の教えによる部分がかなりあ
るものと思っている。著者の橘玲氏の新作、『残酷な世界で生き延びるたった
ひとつの方法』をワクワクしながら手にとった。「『やればできる』という自
己啓発では、この残酷な世界を生き延びることはできない」と帯にある。内容
の前提には深く共感できるが、簡単には頷けない論旨が幾つかみつかった。
 
 有名な囚人のジレンマの数学的最適解が、「二人とも自白することで、囚人
二人共釈放されない」という“不合理な選択”であると説明されている。さら
に紹介されるのが、ロバート・アクセルロッドによる、状況が何度も反復され
るという想定の実験。無限回反復の想定の中では、互いに相手を見捨て自白す
るよりも、協力し合うことが囚人達の最適解になるという。所謂「しっぺ返し
戦略」のたった二つの単純なルールが紹介される。
「最初は協力する」。「それ以降は、相手が前の回に取った行動を選択する」。
 まず、最初は誰でも信頼し、相手が協力してくればこちらも協力する。相手
が裏切ればこちらも裏切る。そして、一度裏切った相手が協力してきたら、ま
た協力する。単純なルールだからこそ、誰にも分かりやすくローコストで信頼
関係を築けるとある。
 
 クライアント企業の営業報告会を傍聴している日。法人顧客各社を担当する
営業担当者が順に実績の説明をする。若い営業担当者が或る零細企業の案件を
進めないこととしたと報告する。彼の説明によれば、その零細法人では購買担
当も居ず、高齢のオーナー経営者が商談に応じ、無理な要求をして来ると言う。
予算も少なく提案の余地も見当らず、小さな企業規模だから案件に広がりがな
い。呼び出されることも多く、やたらに手間がかかるのに案件の手離れが悪い。
彼はその案件の質の悪さを事例を交えて説明し、提案書を郵送して放置し、受
けるか受けないかの判断だけを待っている状態であると言った。
 
 それを聞いていた部長を始めとする幹部・管理職が顔を見合わせる。直属上
司が「もういい。担当を変える」と一言言って、若い担当者の残りの持ち時間
を取り上げた。関心が湧いて後で尋ねると、その零細企業のオーナーは、業界
では顔が広く、以前は、行政対応などまでして、業界全体を取りまとめた人物
であると幹部が説明する。
「多分、ウチの若い奴を指導して下さるつもりで、色々注文をつけたんだと思
います。私達の誰かが挨拶に伺って、きちんとしないと駄目ですね」と部長が
苦笑する。

 ロバート・アクセルロッドの実験はコンピュータ選手権であったと本には書
かれている。心理学・経済学・政治学・数学・社会学の専門家が参加して作成
されたプログラムで数百万回もの反復の結果であったと言う。しかし、コンピ
ュータ上の参加者は皆囚人でしかなかった、と言うことに気付かされる。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第288話 『龍火の毎日』 (1月25日発行) 
 自称「ワーキングプア」の女性の人生設計を、J?POPのヒット曲の歌詞
に准えつつ考えてみました。毎日只管頑張ることについてご一緒に考えてみて
戴ければ幸いです。

(完)